VRと空間データ活用のヒントが見つかる

世界初のVRシネマ,アムステルダムのThe Virtual Reality Cinema体験レポート

VRの活用法の一つの未来に、「映画館」があります。2Dで見るだけではなく、自分が参加したようにリアルに感じられる映像作品というのは、これから映像がたどる一つの道と言えるでしょう。
今回は、「世界初のVRシネマ」という看板を掲げる、オランダ・アムステルダムの”The Virtual Reality Cinema”に行ってきました。今回はその体験レポートです。

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1. VRシネマとは?

今回筆者が行ってきたVRシネマとは、オランダのベンチャー企業、&samhoud mediaが手がける “The Virtual Reality Cinema”と言うもので、オランダ・アムステルダム中心部にあります。

アムステルダム中央駅から徒歩10分ほど。

アムステルダム中央駅から徒歩10分ほど。

VRシネマという言葉からは巨大なスクリーンを丸々VRとして使うような印象を受けますが、実際はSamsung GearVRを用いたスマホVRでの動画視聴ができるシネマ、といったところです。椅子が複数あり、同時に16名までVR動画を視聴できます。
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2. チケットの買い方

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チケットはインターネットで前売り券を買うか、店舗で当日券・前売り券を購入します。
私の場合は、チケットの前売り情報が出てなかった日時に店舗に直撃してみたのですが、ちょうどそのあと団体の予約が入っていたために買えませんでした。(結局再チャレンジしました。)当日以外の空いている時間はインターネットから予約できます。
チケットは一つのプログラム30分に対して、12.5ユーロ(約1500円)という価格です。オランダ国内は映画を10ユーロくらいから見ることができるため、若干高めの設定と言えるでしょう。一応映画館とシネマにバーも併設されていて、アルコールを含むドリンクと、軽食を摂ることができます。
Documentary(ドキュメンタリー), Journey(旅), Scary(ホラー),Kids(子供向け)の4種類が上映されていて、その中から一つを選んで視聴します。
最初は一つの長いストーリーではなく、5分程度の短編が幾つか入っているオムニバス形式の映像です。二つ以上のプログラムで使用されている短編もあるみたいで、子供向けのティザー映像で流れていたものが、Journeyの中でも上映されていました。
一番人気はScaryとのことでしたが、今回筆者はJourneyをチョイスしました。

3. 仕組み

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シネマの仕組みとしては、椅子に座ってSamsung GearVRのVR映像を見て、ヘッドフォンで音声を聞くと言うものです。椅子は回転式ですが、自力で回るしかありません。「椅子も自動で動くらしい」という間違った事前情報を仕入れていたためがっかりしたのですが、自動で動くと自分の好きな時に好きな方向を見られるVR映像の醍醐味があまり活かせないため、自然なように感じました。
椅子と椅子の間はきちんとぶつからないようにスペースがとってあ、快適と言えるでしょう。
また、ヘッドフォンに関しても、ゼンハイザーの3Dサラウンドヘッドフォンを用いているという話でしたが、途中で変更されたようで、SkullCandy社の中級ヘッドフォンになっていました。遮音性はばっちりなので没入感に問題はありませんが、3dサラウンドという面ではいまひとつでした。

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4. 実際のコンテンツ

RFIDカードで動画を起動する仕組みです。

RFIDカードで動画を起動する仕組みです。

さて、実際のコンテンツですが筆者が選んだ、”Journey”は、5つの短編が入った映像でした。

ダリの夢

最初は、「ダリの夢」というタイトルのサイケデリックなもので、アニメーションの中を空を飛んだり巨大な象に乗りながら移動していくというもの。ところどころ、空間がゆがんでいて、遠くから不思議な音が聞こえて来る、なかなか難解な映像でした。VRだからこその距離感を生かしているとも言えるのかなあといった感想でした。おなじみのゆがんだ時計も何度か登場しました。

北極航海

二つ目は、GreanPeaceの北極航海の映像でした。こちらはおそらくSamsung Gear360で撮影された実際の映像で、アザラシやホッキョクグマなど北極の生物をVRで見ることができます。船の先頭や北極の氷の上に設置されたカメラで撮影されたようで、普段では見ることのできない映像を見ることができます。
正統派である反面、「自然を守ろう!」というメッセージ色が強く出ているVR映像でした。

人が恋に落ちる瞬間

三つ目は、人が恋に落ちる瞬間を3Dモデリングで見ていくというもの。「目と目があう」「心拍数が上がる」「手に触れる」といった言葉でハートを形作り、拍動させたりと挑戦的な映像でした。文字が流れていくだけというと退屈そうですが、緩急のついた動きで飽きさせない工夫があります。ただし、すべての文字を読むのはおそらくネイティブでも無理なのでは、というスピードで文字が流れていきます。

車の一生

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四つ目は、車の内部の固定視点から、父娘の一生を見守るハートフルな物語です。
ストーリーや視点は面白いのですが、アニメーションがお世辞にもリアルとは言えず、没入感がいまいちになってしまったのが残念でした。
こちらはキッズ向けの映像にも入っています。

The Night Fall

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最後は”The Night Fall”という映像。こちらはオランダ国立バレエ団とSamsungのコラボ映像で、バレエを中心部から眺めることができます。バレエダンサーが全員自分の方に向かってきたり、バイオリニストを間近に眺めることができたりと、これが一番VRの良さを生かせていた映像でした。

この5つのコンテンツで、約30分の映像です。
VR映像を流す際難しい、本体温度や処理落ちなどの問題は一切なく、きちんと管理されていたところはさすがといったところです。
また、中級機体であるところのGearVRを用いたスマホVRでのシネマというのも斬新でした。

まとめ

正直な感想としては、
・まだまだVRであることを生かしきれていないのでは
・音の使い方がいまいち(音の3d感が足りていない)
・アニメーションより実際の映像の方が面白い
・普段見られない視点からバレエを見るのはかなり面白い
といったところでしょうか。もっとも4つあるうちの一つしか見ることができなかったため、他のプログラムを見たら違う感想があるかもしれません。
「世界初のVRシネマ」は、実際のところはSAMSUNG GEAR VRを用いたスマホVRで、ただ映像を見ると言うものでした。VRの特色を生かし、インタラクティブのコンテンツもできてくるともう少し面白いかもしれません。
とは言っても、VRのオリジナルコンテンツを1500円程度で体験できる場所はなかなかなく、斬新で面白いです。これからどんどんコンテンツも増えていく予定だそうなので、今後にも期待といったところでしょうか。これから少しづつVRシネマが増えていったら、もっともっと面白くなるなという期待が高まる場所でした。
少し遠いですが、オランダに立ち寄ることがあったら是非行ってみてください!!

参考リンク:
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