最近よく耳にするようになった単語、VR。VRがバーチャル・リアリティの略で、ゴーグルを着けることで仮想世界に入れるものだということはよく知られていますが、似た単語である「AR」や「MR」とはなんなのでしょうか?
今回の記事では、この3つの違いをわかりやすくまとめています。
もう世間一般にかなり浸透してきているVR。VRはVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略語です。ゴーグルを着けることで、仮想空間に実際にいるような体験ができる技術のことをいいます。
VRのしくみはとても簡単です。ゴーグル内にはディスプレイがあるのですが、これを左右に分割し、虫眼鏡のようなレンズで拡大。左右の目それぞれに拡大した映像を見せています。
その映像を頭の動きに合わせて動かすことで、360度周りを見渡すことができるようになっているのです。
VRを体験できるデバイスとして、最もメジャーなものはスマートフォンです。実はあなたのスマホでも、簡単にVRを楽しむことができます。
現在発売されているスマホのほとんどにはジャイロセンサーが搭載されています。ジャイロセンサーとは、回転の向きや速度を計測するセンサーのこと。このセンサーを使って、頭の動きを分析し、360度見渡すことを可能にしています。
そのため、Amazonや家電量販店で購入可能なスマホ用のVRゴーグルを装着するだけで、すぐにスマホがVRデバイスに早変わりするのです。
参考記事:VRヘッドマウントディスプレイとVRゴーグル!2017年のおすすめ
スマホVRよりもちょっと値が張るのが、Gear VRやDaydream(日本未発売)のような、専用のスマホを専用のゴーグルにセットするタイプのVRデバイスです。
通常のスマホVRでは、スマホの性能の問題もあって、YouTube動画を再生したり写真を見たりする程度のVR体験しかできません。一方、これらの専用VRデバイスを使えば、本格的なゲームや、アプリを使ってのバーチャル会議通話なども楽しめます。
ゴーグル本体は1万円程度で購入することができるので、対応しているスマホをお持ちの方には非常におすすめです。非常に安価に、本格的なVRを楽しむことができます。
スマホをセットするのではなく、外部のパソコンに接続することで動作するのがこの高価格帯VRデバイス。最も世間に浸透しているのは、去年発売され大きな話題となったPSVRでしょうか。
この価格帯のVRは、外部PCが高度な処理を可能にしているので、スマホを使ったものよりもかなり複雑な動きが可能になります。例えば、コントローラーを使って、VR空間内で物を掴む・投げることや、外部センサーを使ってVR空間を歩き回るといったことができるものもあります。
最も安いものでも5万円、さらにゴーグルだけでなくPC(PSVRの場合はPS4)が必要になるため、0から導入しようとすると8〜10数万円もかかってしまいます。なかなか気軽に手に入るものではありませんが、既に都内にあるVR体験施設では、安価に遊ぶことができてしまいます。
最先端・最高性能のVRに興味がある方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
参考:
東京都内VR11選!体験できるスポット・アトラクションまとめ
大阪VR7選!関西で体験できるスポット・アトラクションまとめ
ちなみに、筆者はハイエンドに当たるHTC Viveの所有者です。購入に至った理由や、パソコンのスペックなどに興味がある方は是非以下の参考記事もお読みになってみて下さい。
参考:
私がHTC Viveを購入した理由 ~ Oculus Riftとの比較 ~
VRゲームを楽しむために必要なPCのスペック、部屋の広さ ー 筆者のHTC Viveのケース
30分で解説!360度カメラの選び方・撮影のポイントを1つの冊子にまとめました。資料ダウンロードは「5000事業者以上へのVR導入実績!事業者向け、360度カメラの選び方と効果的な撮影方法」よりお願いします。
ARはAugmented Realityの略語。日本語では「拡張現実」と訳されます。
VRとの違いをわかりやすく述べると、現実世界と仮想世界、どちらに軸があるかです。VRは現実世界から完全に切り離して、仮想世界に没入することを目的としています。対してARは、現実世界に軸をおきつつ、それを拡張する技術です。
最も有名なARを使ったゲームは、去年大ブームを巻き起こしたPokémon GO(ポケモン GO)でしょう。スマホのカメラを通してポケモンが現実世界にいるかのように見える仕組みは、まさにARを存分に活用しています。
前述したジャイロセンサーが搭載されているスマホであれば、ポケモンGOのようなARを手軽に楽しむことができるので、ほぼすべてのスマホがARに対応しているといっても過言ではないでしょう。また、VRと違ってゴーグルも必要ないため、対応しているアプリさえダウンロードすればすぐにARを体験することができます。
通常、ARはカメラと加速度センサーを使ってARを動作させますが、現在はこれに加えて別のセンサーを搭載することで、より精度の高いARを実現できるスマホも発売されるようになってきました。以下で解説します。
iOS11からARKitというソフト開発キットが配布されるようになり、開発者たちが簡単にARアプリを制作することができるようになりました。
配信されているARアプリはまだ数が多くはありませんが、IKEAの家具配置シミュレーターのような本格的なものも出始めてきています。
iPhone 6s以降のものであればARKitに対応しているので、お手持ちのiPhoneが対応していればぜひ試してみてください。
Android端末は、さらに精度の高いARを実現するためにTangoという規格を設定しました。iPhoneのようにすべての端末で使えるものではなく、高精度の赤外線カメラ、魚眼レンズなどが搭載したものだけが対応しています。
2017年10月現在日本で購入できるTango対応スマホはレノボの『Phab 2 Pro』とASUSの『Zenfone AR』の2機種のみ。触れる機会は非常に限られそうですが、専用端末だけあって非常に高クオリティなARが実現されています。
2013年に開発者向けとして発売されたGoogle Glassも立派なAR端末。メガネ状の端末に拡張現実を映し出すことで、視界を保ったまま様々な情報を得ることができます。残念ながら市販化には至りませんでしたが、B2B製品としての販売は続いており、様々な分野で使われているようです。
ここまでの説明で、VRは仮想世界に飛び込むもの、ARは現実世界に仮想のものを+αするものだということがわかって頂けたかと思います。
ではMRとは何でしょう?MRはMixed Realityの略語で、日本語では複合現実と呼ばれます。定義がまだはっきりしていないこともあり、一言で表すのは難しいのですが、ざっくりと言えばVRのインタラクティブ性とARの現実+αの感覚を足したようなものです。
ARは、誤解を恐れずにいえばカメラ/レンズ越しの現実世界に画像を貼り付けただけのようなものです。使用者が直接仮想物体に干渉したり、現実世界のオブジェクトと仮想物体を干渉させたりすることはできません。
MRでは、現実のテーブルの上に仮想オブジェクトを置き、そのテーブルをずらすとオブジェクトが落ちる、というような、現実の物体と仮想物体の相互作用まで表現することができるのです。また、使用者が直接仮想物体に触ったりすることも可能。同じ現実空間に存在しているとハッキリ自覚できるものがMRです。
現実と仮想の境界が曖昧になるような、完全に混ざりあった状態がMRの定義となります。
まだまだ発展途中の分野であることから、発売に至っているMRデバイスは非常に少ないのですが、敢えて挙げるとすればMicrosoft社のHoloLensでしょう。
上で紹介したARデバイスのGoogle Glassよりも複雑な処理を可能にしており、既に海外ではパイロットの訓練や犯罪捜査などの分野で導入が進んでいるようです。
以上、ざっくりとした説明になってしまいましたが、この3つの概念の違いをわかって頂けたでしょうか。
どれもSFチックな話ばかりですが、既に実現されており、広く普及するまであと一歩の所へ来ています。これらの技術がどのように私達の暮らしを変えてゆくのか、今から楽しみで仕方ありませんね。
参考リンク:
VRの基礎知識についての記事一覧
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