VRと空間データ活用のヒントが見つかる

VRコンテンツを作るときの注意点 〜 残念な事例から学ぶ

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ここ数年VRが注目されてきていることから、地方の観光や企業のプロモーションなど、様々なVRコンテンツが制作されるようになってきています。一方で、VRが流行っているがゆえに、「VRコンテンツを発信する」ことだけが先行し、消費者が見たいと思うコンテンツばかりではなく、残念なコンテンツも多く出てきています。今回の記事では、業界全体での反省を促すためにも、そんな残念なVRコンテンツのポイントをまとめてみたいと思います。

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付属のVRゴーグルのレンズがイマイチ

雑誌の付録だったり、イベントなどで無料で配布される紙製のヘッドセットでよくあるのが、コストの関係でヘッドセットがイマイチという問題です。

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紙製のヘッドセットでもGoogle Cardoboard Ver.2に準拠したものであればそれなりのクオリティのVR体験ができるのですが、レンズが小さかったり、フラットだったりして、立体的には見えず、イマイチなVR体験しかできないというものです。
参考:スマホ用VRのヘッドセットの選び方〜1000円カードボード編〜

内容が少ないのにアプリのダウンロードが必要

地方自治体の観光PRなどで見られる残念な事例が、内容があまり多くない、更新も行われないのに、閲覧するためにはアプリをダウンロードする必要があるというものです。
ただでさえアプリが多すぎて、アプリの断捨離が重要になっているこのご時世に、わずか数個のコンテンツを見せるためにアプリをダウンロードさせるのは、あまり得策ではありません。
各地方自治体が同じやり方をしたら、アプリの数を何千個も作らないといけなくなります。
アプリをダウンロードするという時点で見ないという人もいるでしょうし、仮に見てもらえたとしても、見た後はすぐに削除されてしまうことでしょう。
コンテンツは基本的に通常のウェブブラウザで視聴できるように作ることが重要ではないでしょうか。

 

予算消化などの制作サイドの都合

南あわじ市は観光などのPRに非常に力を入れている地方自治体ですが、今年に入って「バーチャン・リアリティ」というコンテンツを発表しました。こちらのコンテンツは、田舎でおばあちゃんの目の前に座って、大勢で食事するVR体験を行うことで、現代の一人暮らしの「孤食」問題に対応するというものでした。また、食事の内容に関してはレシピが掲載してあり、自分でその食事を作って、VRヘッドセットをつけて、大勢で食事をする気分を味わえるそうです。

突っ込みどころを挙げるときりがないのですが、ヘッドセットつけていたら自分の箸や食べ物の位置が見えないですし、そもそも一人暮らしの人がそんなに本格的な料理を作れるのかという豪華なメニューが並んでいます。
個人的には見ず知らずのおばあさんから一方的に話しかけられながら食事するというのも微妙な感じもしますし。

また、読売新聞の記事によると、このコンテンツは地方創生加速化交付金2000万円を財源に、広告会社に委託し制作したものだそうです。
つまりは国からの交付金であり、東京をはじめとする大都市が払っている税金でまかなわれているようなものです。南あわじ市の方々は、本当に自分たちのお金であっても2000万円かけてこのコンテンツを制作したいと思うのでしょうか。

 

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動画が重い、画質が悪い

動画のコンテンツの場合、重いというのがよく問題になってきます。
特にライブ配信などをやろうとする場合、視聴者のデバイスや通信環境などの制約を受けますし、重いコンテンツの場合、通信コストの観点からも嫌がられる部分もあります。
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Photo by lisawood30 on Flickr

また、昨今ではきれいな映像で見るのがあたりまえになっている中、360度映像のカテゴリーでは、まだまだ画質的には改善の余地があるようにも思えます。
ただこの問題に関しては、通信環境などのインフラの制約を受ける部分もあるため、一朝一夕に改善できるものでもないとは思いますが、今後の発展に期待したいところではあります。

まとめ

様々なプロモーションなどでVRを活用しようという取り組みが多く見られてきています。
一方で、予算の問題などもあるのでしょうが、上記のケースのように、残念なコンテンツや、「無理にVR使おうとしなくてよかったんじゃないの?」と思われる事例は散見されています。

また、初めてVRを体験する人がイマイチなコンテンツを体験してしまうと、VRそのものが嫌いになってしまうリスクもあり、VR業界、コンテンツ業界全体の損失にもつながります。

VRに限らず、コンテンツ制作で重要なのは伝えたい中身です。中身をしっかり考えて、表現の手法としてVRならではの、VRの良さを生かしたコンテンツ作りをしていくことが重要ではないでしょうか。

参考リンク:
360度カメラ撮影後の処理についての記事一覧
360度カメラ撮影後の処理について興味がある方はこちら

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