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360度写真の傾きを直す、スタート位置を変更する、などの編集ができる無料ソフトHugin

Photo by Henry Hemming on Flickr

以前の記事で、リコーシータのPC版アプリを使って傾きを補正する方法を解説しました。
しかし、傾きが非常に大きい場合、あるいは撮影したときにリコーシータに内蔵されているコンパスが正常に作動しておらず、正確な天地の方向がとれていなかった場合は、リコーシータPC版アプリでは傾きを直すことができない場合もあります。
また、360度カメラを使って撮影をしたものの、カメラの前後を間違えてしまって、360度写真のデフォルトの位置が逆になってしまって、困った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、360度写真の傾きを調整したり、デフォルト位置を変更したりという編集ができて、しかも無料で使える「Hugin」というソフトの使い方について解説したいと思います。
Huginは、パノラマ写真を制作するためのスティッチングソフトですが、すでにパノラマの状態になっているものを補正して書き出すこともできるのです。
それでは以下に、具体的な手順について述べていきたいと思います。

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Huginのダウンロード

以下のURLからHuginをダウンロードします。
http://hugin.sourceforge.net/download/
以下のような、人が飛んでいるようなロゴです。
hugin-logo
ちなみに筆者はMacを使っていますが、もちろんウィンドウズ版もあります。
ダウンロードしたdmgファイルを実行すると、「Hugin」、「HuginStitchProject」、「PTBatcherGUI」という3つのソフトがインストールされます。
今回の編集、書き出しの処理の中で、上記3つのソフトは全て動作していますが、基本的には「Hugin」のみを操作します。

360度写真の傾きの補正、デフォルト位置変更の手順

まずHuginを開きます。
右上の「Hugin」の文字をクリックし、「環境設定」の「スティッチ中」のタブにいきます。ここで、デフォルトのファイル形式がTIFFになっていますが、TIFFファイルは重くて使いにくい場合もありますので、JPEGに変更します。

環境設定

次に、「①画像を登録」ボタンをクリックし、傾きを補正したい360度画像ファイルをアップロードします。

hugin1ststep

上のバーに「アシスタント」、「プレビュー」、「配置」などとメニューが並んでいますが、「移動/ドラッグ」を選択します。
画像をクリック&ドラッグして傾きを直します。360度画像がEquirectangularのフォーマット(1対2の地図のメルカトル図法のようなフォーマット)なので、傾き加減がちょっとわかりにくいのですが、全体的な樹木や通行人などの傾き具合を見ながら調整します。
このときに360度写真のデフォルト位置に持ってきたい位置を正面に置くことで、デフォルト位置を変更することができます。

hugin補正後

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書き出しの処理

傾きの調整が終わったら、いよいよ次は書き出しの処理です。
いちばん上の「Interface」のタブから、「Advanced」を選択すると、新しいウィンドウがポップアップします。

スティッチャー

このウィンドウの中の、「スティッチャー」のタブをクリックし、中央のあたりにある、「パノラマの出力」という項目のあたりにある、「ファイル形式」をTIFFからJPEGに変更します。
その後、いちばん右下にある「スティッチを実行」をクリックすると、以下のようなメッセージが出ますので、OKをクリックします。

saveptofile

すると、PTOファイルという形式で、編集したプロジェクトを保存するウィンドウが出てきますので、保存します。

savepto

「保存」をクリックすると、自動的に処理が始まり、PTOファイルを保存したフォルダに、編集済みのJPEGファイルが保存され、作業は完了となります。
以下のコンテンツはHuginで傾きとスタート位置を編集する前と、編集した後の写真を比較したものになります。

新しいタブで開く>

画像ファイルのサイズは小さくなる

Huginで編集して書き出したJPEGファイルは、サイズが小さくなります。今回のケースだと、編集前がリコーシータSで撮影した360度写真なので約4MBでしたが、編集後は約1.6MBになっていました。
解像度は落ちているのかもしれませんが肉眼ではそれほど気にならないレベルかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ちょっと複雑な手順にはなりますが、手順通りにやれば、それほど難しい操作ではありません。
また、補正についても最初は難しそうに感じますが、いじっていると何となくわかってきますし、何度でもやり直すことはできます。

Huginの本来の用途はパノラマ写真のスティッチングなので、今回紹介した編集機能は、Huginの機能のうちのほんの一部だと思いますが、無料でここまでの作業ができるというのはすごいことではないでしょうか。
360度写真の傾き補正、スタート位置の修正で困ったときは、ぜひ上記の手順を参考にしてHuginで編集していただければと思います!

参考リンク:
360度カメラ撮影後の処理についての記事一覧
360度カメラ撮影後の処理について興味がある方はこちら

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